[書籍] 天才 石原慎太郎(著)

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天才

2016年上半期ベストセラーとなり、下半期も発行部数を伸ばしている石原慎太郎が書いた『天才』を読んでみました。

内容紹介
高等小学校卒という学歴ながら『日本列島改造論』を引っ提げて総理大臣に就任。比類なき決断力と実行力で大計の日中国交正常化を実現し、関越自動車道や上越新幹線を整備、生涯に30以上の議員立法を成立させるなど、激動の戦後政治を牽引した田中角栄。
その経歴から総理就任時には「庶民宰相」「今太閤」と国民に持てはやされ、戦後では最高の内閣支持率を得たが、常識を超える金権体質を糾弾され、総理を辞任。その後、ロッキード事件で受託収賄罪に問われて有罪判決を受けるも、100名以上の国会議員が所属する派閥を率い、大平・鈴木・中曽根内閣の誕生に影響力を行使。長らく「闇将軍」「キングメーカー」として政界に君臨した。
そんな希代の政治家・田中角栄といえば、類まれな権謀術数と人心掌握術に注目が集まるが、実はスケールが大きいわりに人一倍デリケートな一面があった。浪花節と映画をこよなく愛する、家族思いの人情家だったという。
強烈な個性をもったリーダーが不在の今、自らも政治家として田中角栄と相まみえた著者が、毀誉褒貶半ばするその真の姿を「田中角栄」のモノローグで描く意欲作。

数字に強い、駆け引きが上手い、義理人情を欠かさない。
それが高等小学校出の男が伸し上がる武器だった――。

1918年5月に新潟県で生まれた田中角栄が1993年12月にこの世を去るまでの生涯が、まるで田中角栄が自ら書いたように一人称で大きな文字とたっぷりの行間で書かれてます。

急げば1時間程度で読み終わる内容で、上記の内容紹介でほとんど事足りているような。石原さんはこれで印税がガッポリ入ってくるわけですから、笑いが止まらないんじゃないかな。

私はロッキード事件が発覚する直前の1975年12月生まれなので、もちろん総理時代の田中角栄をリアルタイムで知っているわけじゃないですが、日本列島改造論や日中国交正常化であれだけ稀代の政治家として名を馳せたわけですから、子供の頃に父親が話していたことやTVの特番、小沢一郎の本などで、その人となりも含めてだいたい頭に入っていたようです。読んでも「へー知らなかった!」と感じる内容はほとんどありませんでした。

著者本人もあとがきで「この稿を書くにあたって多くの本を参考にし多くの啓示を受けた・・・ それらの文献に負うところが多かったことをお断りしておく。」と書いてますしね。

じゃあ石原さんはどうしてこんな本を出したのか。

きっかけは『生還』や『再生』といった石原氏の一人称の小説を高く評価する早稲田大学の森元孝教授に「田中角栄のことを一人称で書いてはどうか」と勧められたとありますが、最初に金権批判で弓を引いたことに後悔の念がずっとあったんじゃないかな。ローキード事件はアメリカの策謀であり、自らもその策略に洗脳された1人だという思いとともに。

本人はあくまでも政治に関わった者としての責任で記したと言ってますが、東京都知事を経験して引退した今、実は好きだった田中角栄という天才を葬り去ることに少しでも加担した禊のように感じてしまいます。

しかし、田中真紀子はすげーな。あんな娘を持つと大変だ。

終わり!

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