[書籍] 菅原道真-見果てぬ夢 三田 誠広 (著)

2016年01月06日
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「天神って何?」という息子からの質問に、「天神様と言えば菅原道真で、梅ヶ枝餅を買う太宰府天満宮は覚えてるでしょ…」という具合に答えてみたものの、よく考えたら人が神になったいう稀な存在なのに、菅原道真がどんな人だったのかよく知らない。

そこで正月休みを利用して「菅原道真 見果てぬ夢」を読んでみました。昨年読んだ本の中で一番面白かった「聖徳太子 世間は虚仮にして」を書いた三田誠広さんの作品なので、読む前からワクワクしていたのですが、やはり面白かった。

あらすじ
抜きんでた才覚を見込まれ、儒者でありながら右大臣まで上りつめた道真。貴族たちのうごめく野心と、業平と高子らの恋の傍らで、政治家として奔走した劇的な生涯を描く本格歴史小説。

菅原道真とはどんな人だったのか

菅原道真は何も教えないうちから漢籍を読みこなしたりと小さい頃から優秀だったわけですが、儒者としての道を究めるため、菅家廊下という私塾を中心にしてただただクソ真面目に学問を続けていきます。

道真は「君主は仁によって国を統べ、臣民が忠義を尽くして従えば国は平らかになる」と信じて疑いません。とにかく性格が真っ直ぐなんです。

だから衝突ばかりしています。

例えばこの時代、土地は全て国有地であり、区分田を貸し与えて収穫から徴税していました。ところが区分田は人口増により不足して新たに開墾する必要が出てきます。

そこで藤原氏は画策し、三世一身法を経て、墾田永年私財法を制定させます。これは寺社と貴族だけは開墾した土地の永年私有を認めるものです。

貴族である藤原氏は農民に土地を開墾させるのと同時に不当に区分田の名義を移すことで私有地(荘園)を拡大します。

しかも、子どもを戸籍に入れない農民が増えたことで朝廷は荘園で働く農民から人頭税も取れません。

たちまち朝廷の財政は逼迫し、藤原北家の広大な荘園を背景とした財政に頼らなければ国の統治ができない状況に陥ってしまいます。

道真はこの状況を知り、藤原北家に不義があるなら、それを糺すのが儒者の務めと全国の土地と戸籍を菅家廊下の門下生に調査させ、朝廷財政の立て直しをはかります。

そりゃ藤原北家は道真を目の敵にしますよね。しかも菅家廊下で教えた定省王が気が付けば宇多天皇となり、道真は異例の大出世を果たすわけですから周りは敵だらけ。

そしてついに帝から次のような宣命が出されます。

右大臣菅原道真は貧しき出自でありながらにわかに右大臣に昇り、おのれの分際をわきまえずに専横を望んで卑劣な策を弄し、上皇を惑わせて我が子を廃帝にせよと唆し、父と子の仲を引き裂いた。道真の狙いは娘を嫁がせた斉世親王を擁立し、おのれが権力を掌握することにある。

というようなことで、突然に「太宰権師」に任じられます。これは実質的には太宰府への流罪です。太宰府では半ば朽ちた粗末な小屋に寝泊まりして飢えをしのぎながらの貧しい生活だったそうです。家族で唯一同伴した愛児も亡くなり、気力も尽きた道真は、太宰府に配流された2年後、享年59にしてこの世を去ります。

えっなんでこの人が神になったの?と思わずにはいられないような人生です。

どちらかと言えば、道真の宿敵であった藤原基経の妹であり陽成天皇の母、美人として知られた「藤原高子」やその高子も愛した平城天皇の孫でありながら不遇の一生となった美男子「在原業平」、鬼が見えるという道真の弟子「紀長谷雄」なんかの方が神秘的な存在に感じます。

ただ道真は死んでからが凄かった。

敵対していた藤原北家を中心とする面々が、次々と死んでしまいます。道真の祟りではないかと風評が流れ、藤原忠平は菅家廊下の隅に鎮魂の祠を建立します。天神伝説の始まりはここからだそうです。

その後も謎の死や不思議な出来事は続き、道真が死んで44年後に関白藤原忠平の命により北野天満宮が築かれ、天神様が祀られたという流れです。

こうして道真は人から神になったわけです。

■さいごに

これまで私が勝手に抱いていた菅原道真像とはかけ離れていた内容に驚かせれました。

また皇位継承争いがドラマチックに書かれており、道真が生きた時代の歴史を深く知ることができました。

この作家さんの本は面白い。読み始めると止まらなくなるので、仕事が一段落してから別の作品は読むことにします。

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