北九州市が若い世代の転出を抑制するための対策として、2018~20年度に市内の中小企業などに就職する学生を対象に、最長で3年間、奨学金の返済を肩代わりする制度を創設する方針を固めたそうです。
支援総額は約5億円。就職先や職種は、環境や省エネといった成長分野の中小企業、少子高齢化に対応する介護福祉士などの専門職に限定する方針で、毎年度300人ずつ計900人を募集する計画。
現在の奨学金返済の問題の多くは認識の甘さが原因のような気がします。
最近は、NHKで放送された「奨学金破産の衝撃」によるインパクトや返済不要の給付型奨学金の創設が叫ばれていることから、奨学金返済に身構える学生が多いのかもしれませんが、日本学生支援機構の無利子奨学金の返済額(毎月約1万5千円)程度なら就職浪人に仮になっても、バイトすれば返済できます。
私も日本育英会(現在の日本学生支援機構)から奨学金を借り、そして完済済みです。その経験から言えば、現在の奨学金返済の問題の多くは認識の甘さが原因のような気がします。
学生時代にバイトも満足にせず、複数機関から振り込まれる多額の奨学金に頼りきっていれば、それは返済は苦しくなるのは当たり前です。
また、卒業後の返済に関しては一度ぐらいと軽い気持ちで延滞すれば、次の返済額は2ヶ月分です。返済は口座引き落としのケースが多いですから、1ヶ月分口座に用意していても引落しはかかりません。計画的に返済していれば、毎月1万5千円だったものでも、気がつけばとても払えないなんてことになるわけです。
そうこうしているうちに奨学金は借金ですから個人信用情報機関に登録されますし、日本学生支援機構は回収を別の専門会社に委託しているため督促は厳しく、連帯保証人に連絡が行きます。通常連帯保証人は2人ですから、親だけではなく、その他保証人になってもらっている親類や知人に迷惑がかかる恐れがあり、軽い気持ちで延滞すると痛い目にあいます。
返還滞納額の増加は、奨学金の貸与開始時や返済開始時に返済に関する説明を丁寧に行うことで随分減らせることができるような気がします。
北九州市の対応に追随する自治体がでてくることを期待
私は返済不要の給付型奨学金の創設には否定的な見方をしています。適格認定の厳格化に懐疑的ですし、そこに国が絡むと認定事務に多額の予算が組まれるのは目に見えているからです。
それなら、地元の企業に就職すれば3年間奨学金返済肩代わりするといった制度創設の方がしっくりきます。
北九州市の過去5年間の人口減少数は全国の市町村でワーストらしく、今回の制度創設により人口減少に歯止めがかかるキッカケになるといいですね。
上手く行けば追随する自治体もきっと出てくるでしょうから、今後の動向に期待です。