育てた時間か血の繋がりか。『そして父になる』を鑑賞しました。

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『そして父になる』

あらすじ
野々宮良多(福山雅治)と妻みどり(尾野真千子)の間には6歳になる一人息子・慶多(二宮慶多)がおり、家族は幸せな日々を過ごしていた。そんなある日、慶多を出産した病院から「重要なお知らせがある」と呼び出される。出生時に子どもの取り違えが起き、実の息子は慶多ではなく、斎木家の琉晴(黄升炫)だというのだ。ショックを受ける良多とみどりだが、取り違えられたもう一組の家族、群馬で小さな電気店を営む斎木雄大(リリー・フランキー)・ゆかり(真木よう子)と対面した良多とみどりは、「子どもの将来のために結論を急いだ方がいい」という病院の提案で斎木家と交流を始め、病院を相手取って裁判を起す。6年間愛してきた他人の子どもと、血の繋がった実の息子。子どもを交換するべきか、このまま育てていくべきか、葛藤の中で良多はそれまで知らなかった慶多の思いに気づく。

Wikipedia

スタッフ・キャスト
監督:是枝裕和
配給:ギャガ
野々宮良多:福山雅治
野々宮みどり:尾野真千子
斎木雄大:リリー・フランキー
斎木ゆかり:真木よう子

感想

2013年制作。2014年1月発表の最終興収は32.0億円。第66回カンヌ国際映画祭 審査員賞を受賞しています。

この映画のテーマは衝撃的でした。我が子が6歳になった時、出産した病院で取り違えられたことが発覚する。「自分の身に同じことが起こったらどうするだろうか?」と考えない人はいないと思います。子を持つ親ならなおさらでしょう。

同じ世代の子を持つ親の身としては、手放すことなんて到底できません。それならば血がつながった本当の息子はどうするのか?選択なんてとてもできません。

とにかく重いテーマです。

ただ、タイトルは『そして父になる』です。この映画は「実は自分の子供ではなかった」という衝撃の事実を突きつけられた福山雅治演じる良多が、この事件をきっかけとして父になる。これが見せ場なんです。

そのために監督が取った演出、そして父親役を演じた2人が実際に子を持つ親では無いということが、傑作を生んだのだと思います。

突きつけられた事実の衝撃の割には演技に力みが見られない。キャストが感情を爆発させ、苦悩し続けると、クライマックスでは観る者にこの問題の解答を示さなければないない。

でもこの問題に解答は無いはず。

そんな解答の無い、もの凄いテーマで話を作る場合に考えられうる最高の結末だったのではないかと思います。スピルバーグが涙し、米ドリームワークスでリメイクが決まったのも納得の素晴らしい映画でした。

子どもと接する時間をもっと大事にしようと思います。

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