沈みゆく帝国 ケイン岩谷ゆかり著
この本はウォルター・アイザックソンがジョブズの要請により著作した「Steve Jobs」と対をなしています。
多くのApple信者を生んだであろう「Steve Jobs」が陽であり、「沈みゆく帝国」はもちろん陰です。
米国時間2011年10月5日に、スティーブ・ジョブズがこの世を去ってから、絶対的リーダーを失った帝国は様々な問題を抱え苦境に立たされます。
この本の中でAppleはまるで沈没するのは時間の問題かのような書かれようです。CEOのティム・クックが名指しで批判したのも頷けます。
Appleが抱える深刻な問題
Appleの最大サプライヤーである台湾のフォックスコンは自殺者が続出し、事故も連発します。
消費者は美しいiPhoneをいじるのに忙しくても、それがどこから来たのかなど考えもしません。サプライヤーに対するAppleの厳しい姿勢や工員に強いる労働条件は酷いものです。
さらに、世界各地で莫大なカネをつぎ込み、特許に関する法廷闘争が続いています。サムスンとは泥沼の様相です。
Appleは「サムスンは盗人だ!」と主張して販売差止を求めていますが、デザインやアイデアを盗んだと主張している機種がもう過去の産物になっているのですから意地を張っても仕方が無い気がします。
他にも、電子書籍の裁判で敗訴、納税を逃れるための仕組みを追求されて信用は地に堕ちます。
ジョブズがいた頃の輝きを失った会社からは辞める社員が増えていきます。一部の転職は「G2G」と呼ばれているそうです。意味は「Go to Google」です。
iPhone6/6Plusの売上は好調
しかし、これだけの問題を抱えていても、ジョブズが残したイノベーションは偉大です。
9月19日に発売されたiPhone6/6Plusは、発売開始からたったの3日間で1000万台を売り上げました。
今月20日発表した第4・四半期(7-9月)決算は、売上高が12.2%増の421億2000万ドルと好調です。
ただ、iPhone6/6Plusは改良品に過ぎません。
次はジョブズがiPodやiPhoneを発表して世界をあっと言わせたように新製品が必要です。そうでなければ、「Appleはジョブズがいないとダメだ」という印象を拭うことはできないでしょうね。
現CEOのティム・クックは新しいイノベーションを生み出せるでしょうか?
そういえば、ティム・クックが「私はゲイであることを誇りに思っている」と公式に同性愛者であることをカミングアウトしたニュースが昨日流れていましたね。
本の中で登場する部下に厳しいキャラクターとギャップがありすぎです。