【書籍】悪と仮面のルール 中村 文則 (著)

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「アメトーーク!」効果で全国書店から消えたと言われた『教団X』の著者である中村 文則氏の作品を読んでみました。この著者の作品は初めてです。

悪と仮面のルール

内容紹介
父から「悪の欠片」として育てられることになった僕は、「邪」の家系を絶つため父の殺害を決意する。それは、すべて屋敷に引き取られた養女・香織のためだった。十数年後、顔を変え、他人の身分を手に入れた僕は、居場所がわからなくなっていた香織の調査を探偵に依頼する。街ではテログループ「JL」が爆発騒ぎを起こし、政治家を狙った連続殺人事件に発展。僕の周りには刑事がうろつき始める。しかも、香織には過去の繰り返しのように、巨大な悪の影がつきまとっていた。それは、絶ったはずの家系の男だった―。刑事、探偵、テログループ、邪の家系…世界の悪を超えようとする青年の疾走を描く。芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペンス長編。新たなる、決定的代表作。

主人公の父である久喜捷三が「今から、お前に人生について重要なことを話す」「お前は私の手により、1つの『邪』になる」「これは私の、いえ、我々の家系で時々行われることだ」と語る中、聞いている息子の久喜文宏は11歳にして、「父は間違っていた。僕はもう既に『邪』だったのだ。ラジコンを持っていったのは、父を欺くためだった。」と心の中で思っている。

もう初めから邪悪で陰湿な雰囲気をバリバリ漂わせているのに、その後に続く話が尻すぼみ。ホラー映画「13日の金曜日」のように散々効果音やカメラワークで煽っておいて、肝心の場面はテロップで死が伝えられるような感じです。

もっともっと久喜家の異質さを表現して欲しかったですね。その点はちょっと読んでいて残念でした。

一方、姿なきテロ集団『JL』は良かったですね。脅迫の内容が「これから頭髪の薄い順に政治家を暗殺していく。もし止めたければ、総理大臣は記者会見を開き、百パーセントの力で郷ひろみのモノマネをすること」ですからね。

その後、本当に政治家が殺され始めると、密かにカツラを被る政治家が出てきたと報道され、それを情けないという若手政治家、「首相は郷ひろみをやるべきだ」とリベラル系政治家は訴え、そのコメントに保守系政治家が激怒するという、めちゃくちゃシリアスな展開に、伊坂幸太郎氏の小説にでてきそうな文章がでてきて爆笑でした。緊張と緩和ですね。

そういう意味では邪悪さをもっと強く表現して緊張感を高めてもらえると有りがたかったんですけどね。

それでも全体的に面白く読めたので、『教団X』も読んでみたいと思います。

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