【書籍】キャプテンサンダーボルト 阿部和重 伊坂幸太郎 著

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キャプテンサンダーボルト

内容紹介
世界を救うために、二人は走る。東京大空襲の夜、東北の蔵王に墜落したB29。公開中止になった幻の映画。迫りくる冷酷非情な破壊者。すべての謎に答えが出たとき、カウントダウンがはじまった。二人でしか辿りつけなかった到達点。前代未聞の完全合作。

阿部和重氏と伊坂幸太郎氏による合作です。伊坂作品は同時進行の2つの物語が最終的に結びつくパターンがよくありますが、今作品は合作なのにその手法がとられていません。

文体を合わせていますし、お互いに編集作業を行いながら作品を作っていったようなので、どちらがどこを書いているのかはっきりとは分かりません。ここは伊坂氏だなというのは多少は分かりますけどね。

ただこの構成だと、作品のための取材や資料集めのパワーが倍になる利点を生かして、一人で書き上げる以上の奥深さを出さなければ、二人で書く意味がないような気がします。その利点が抜けると、お互いの良さが薄れた状態の作品が出来上がってしまうような・・・

物語としては楽しめますが、なんだか合作の窮屈さを感じてしまいました。

二人はこの作品を書くにあたって、村上春樹氏を「我々にとって、上空を遮っているものすごく巨大なUFOみたいなもの」「それに立ち向かわないといけない」と語っているのですが、この作品で村上氏に立ち向かったら、返り討ちに合っちゃいますね。

ただ伊坂氏が村上氏を意識した発言を聞けたことは良かった。なぜなら「オーデュボンの祈り」を読んだ時から絶対に村上作品の影響は受けていると感じたから。その割には頑なに伊坂氏から村上作品の事が触れられないので、腑に落ちていなかったんです。

「やはり意識していたか」とにんまりしてしまいました。

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