[書籍] 第153回直木賞受賞作「流」東山 彰良 (著)

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流

あらすじ
1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。無軌道に生きるわたしには、まだその意味はわからなかった。大陸から台湾、そして日本へ。歴史に刻まれた、一家の流浪と決断の軌跡。台湾生まれ、日本育ち。超弩級の才能が、はじめて己の血を解き放つ!友情と初恋。流浪と決断。圧倒的物語。

中学生の時に読んだ芥川賞受賞作品が全く面白くなかったことが引き金となって、なんらかの賞を受賞した作品=良書とは全く思えずに、それを選書の基準には置いてなかったのですが、今年は芥川賞を又吉さんの「火花」が受賞したことで、第153回芥川賞、直木賞の贈呈式の様子が頻繁にメディアに露出し、「流」の評価の高さが漏れ伝わってきたので読んでみました。

さすが、前代未聞の満票決着で直木賞を受賞し、選考委員の北方謙三氏に「20年に一度の傑作。とんでもない商売敵を選んでしまった」と言わしめた作品ですね。圧倒的な筆力で話にぐいぐい引き込まれていきました。文句なしに素晴らしい本です。

祖父の死を中心として描かれる抗日戦争(日中戦争)後の中国国民党と中国共産党の内戦、国民党の台湾撤退を背景に描かれる歴史小説としてだけではなく、幽霊登場によって主人公の葉秋生が祖父を殺した犯人を追っていくミステリー要素を含んだ推理小説としても楽しめます。

それだけではなく、作品の冒頭や作中にも登場する「魚が言いました・・わたしは水のなかで暮らしているのだから あなたにはわたしの涙が見えません」という印象的な王璇「魚問」の詩が効果的に働いている恋愛小説そして青春小説としても楽しめます。

しかも歴史、推理、恋愛、青春の要素がそれぞれ単独でも一つの小説になるほど深みがあるので、とても贅沢な作品となっています。

こんな偉大な作家さんが同じ福岡に住んでいるということにも興奮を覚えます。

ぜひまだ読んでいない方は正月休みにでもゆっくり読んでいただければと思います。

読む前に一つアドバイス。登場人物の漢字の読み方を覚えてから読むことをオススメします。例えば、趙戦雄(ジャオ ジャンション)、高鷹翔(ガオ インシャン)、許二虎(シュウ アルフウ)など。

中国人や台湾人の名前に馴染みがなければ到底読めない名前に苦しむことになります。何度も登場人物がまとめられたページを見返さなくていいように一度読み方を頭に入れて読み始めれば、時間短縮になりますよ。

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